2019.08.25
50kW未満も届出が必須?太陽光発電「低圧」と「高圧」の違いと新区分を解説
(2026年3月10日更新)
産業用太陽光発電設備を導入する際、「50kW」という境界線で設備が「低圧」と「高圧」に分かれ、管理体制や法的義務が大きく変わることをご存知でしょうか。
この分類の違いを理解していないと、意図せず電気主任技術者の選任やキュービクル設置といった高圧設備の管理義務が発生し、想定外のランニングコストが増大するリスクがあります。さらに、2023年(令和5年)3月の電気事業法改正により、50kW未満の低圧設備であっても新たな届出義務が発生しており、「低圧だから設置後は放置でよい」というこれまでの常識は通用しなくなりました。
本コラムでは、産業用太陽光発電における「低圧」と「高圧」の違いや、最新の法改正に伴う義務の変更点を基礎から解説します。特に、導入時に注意が必要な「低圧分割の禁止」や損益シミュレーションの重要性など、企業が知っておくべきポイントを網羅。最適な設備選びとトラブル回避のために、ぜひ最後までお読みください。
この記事のポイント
- 設備容量50kWを境に「低圧」と「高圧」に分かれ、かかるコストや管理義務が変わる。
- 2023年の法改正により、10kW以上50kW未満の低圧設備は「小規模事業用電気工作物」となり、基礎情報の届出などが義務化された。
- 高圧(50kW以上)は導入コストのスケールメリットがある一方、キュービクル設置や電気主任技術者の選任が必要。
- 最適な導入には、発電量だけでなくランニングコストを含めた「損益シミュレーション」が不可欠。
【2023年法改正】太陽光発電の「低圧」「高圧」と3つの新しい区分
太陽光発電設備は、従来「50kW未満が低圧」「50kW以上が高圧」という2つの大きな枠組みで語られることが一般的でした。しかし、2023年(令和5年)3月20日に施行された電気事業法の改正により、設備の法的な位置づけが以下の3つに細分化されています。
管理体制の違いを明確にするため、まずは最新の区分を理解しておきましょう。
1. 発電容量10kW未満の「一般用電気工作物」(低圧)
10kW未満の太陽光発電設備は、主に一般家庭の屋根などに設置されるものを想定しており「一般用電気工作物」に分類されます。扱う電圧も低く、電気主任技術者の選任や国への特別な届出などは原則として必要ありません。法人であっても、極めて小規模な事業所などで導入する場合はここに該当することがあります。
2. 発電容量10kW以上50kW未満の「小規模事業用電気工作物」(低圧)
企業の工場や倉庫の屋根、遊休地などに設置される50kW未満の設備は、これまで一般用電気工作物とされてきましたが、法改正により新たに「小規模事業用電気工作物」と定義されました。
依然として「低圧」での連系となるため、高圧設備のようなキュービクル(高圧受電設備)の設置や、電気主任技術者の選任は不要です。しかし、技術基準適合維持義務のほか、「基礎情報の届出」や「使用前自己確認の届出」が新たに義務化されました。低圧であっても、事業用としての適切な保安管理が国から求められるようになっています。
3. 設備容量50kW以上の「自家用電気工作物」(高圧・特別高圧)
設備容量が50kW以上の設備は「自家用電気工作物」という位置づけになり、いわゆる「高圧」での運用となります(2,000kW以上・電圧値が交流、直流ともに7,000V超であれば「特別高圧」)。
非常に高い電圧を扱うため、経済産業省が定める技術基準を守り、維持管理を安全に行う厳格な義務が課せられます。具体的には、キュービクルの設置、電気主任技術者の選任・届出、そして保安規程の届出が必須となります。
出典:経済産業省「太陽電池発電設備を設置する場合の手引き」を基に作成
産業用「低圧」(50kW未満)を導入する際の注意点
管理コストを抑えやすいことから、50kW未満の低圧設備(小規模事業用電気工作物)を選ぶ企業は少なくありません。しかし、導入にあたっては以下の点に注意が必要です。
新たな届出義務への対応
前述の通り、2023年の法改正により、10kW以上50kW未満の設備には以下のような義務が追加されました。
小規模事業用電気工作物の主な義務
- 基礎情報の届出: 設備の所有者、所在地、保安管理体制などの情報を国(経済産業省)へ届け出る。
- 使用前自己確認の届出: 設備を稼働させる前に、技術基準に適合しているかを自ら(または専門業者に委託して)確認し、届け出る。
- 技術基準適合維持義務: 設置後も継続して技術基準に適合するよう設備を維持する。
これらの手続きを怠ると法令違反となるため、最新の法律に精通した専門業者にサポートを依頼することが確実です。
【注意】低圧分割案件は厳正に審査され、連系承諾に至らない
高圧の厳格な管理義務やコストを回避するため、「本来なら100kWの設備を設置できる土地に、49kWの低圧設備を2つに分けて申請する」といった手法を考える方がいるかもしれません。これを「低圧分割」と呼びます。
しかし、現在この低圧分割は一般送配電事業者による接続検討や技術検討の際に厳正に審査され、該当する場合には、連系承諾されません。コンプライアンスの観点からも、設備の規模に見合った正当な申請を行う必要があります。
低圧分割に当たらない例外事例
1. 公道、河川等を元から挟んでおり、物理的に統合することが出来ない場合
2. 農地などのように他用途への使用に制限が課されていることが客観的に認められる土地を挟む場合
3. 住宅、工場、店舗、その他不動産登記法における建物の要件を満たしている建物の屋根に設置されている設備と接する場合(出力が20kW以上で、太陽光パネルの一部を屋根に設置し、残りを地上に設置する場合を除く)
4. 分割してもなお全ての案件が特別高圧(2000kW 以上)の場合(当該案件の出力を合算すると調達区分が変わる場合を除く)
5. 異なる種類の再生可能エネルギー発電設備を設置する場合
6. 2013 年度までに申請して認定を受けた設備と接した場所に設置する場合
7. 既に運転開始をしている同種の再生可能エネルギー発電設備の系統線からの引き込み線を用いて、電力会社が設置・管理する売電メーター(親メーター)とは別に、既存認定設備及び増設設備のそれぞれの発電量を測定できる交流配線側に発電メーター(子メーター)を設置する場合※(1発電場所として扱う場合)
※同じ地番に設置することは重複に該当するため原則認定はできない。ただし、上記7における共同利用部分(変圧器、遮断器等)は除く。
出典:資源エネルギー庁「発電設備の分割対策に関するQ&A」を基に作成
出典:資源エネルギー庁「生可能エネルギー発電事業計画における再生可能エネルギー発電設備の設置場所について」
産業用「高圧」(50kW以上)のメリットと管理コスト
一方、50kW以上の高圧設備には、低圧にはない大きなメリットと、それに伴うランニングコストの課題が存在します。
メリット:スケールメリットによる費用対効果の向上
高圧の太陽光発電設備の最大のメリットは、単位出力あたりの設備投資費用(初期費用)が割安になりやすい点です。屋根面積や土地が広大であるほど、大量のパネルを設置できるため、自家消費による電気代削減効果や、余剰電力の売電による収益を最大化することができます。
デメリット:維持管理(ランニングコスト)の増大
反面、高圧設備は運用が始まってからの管理コストが低圧よりもかかります。主なコスト要因は以下の通りです。
高圧設備特有の主な管理コスト
- キュービクルの設置・点検費用: 高圧の電気を施設で使える電圧に下げる変圧器の導入と定期点検が必要です。
- 電気主任技術者の外部委託費用: 有資格者を選任するか、外部の電気保安法人などに保安管理業務を委託する費用が毎年発生します。
なお「特別高圧」の中でも発電容量が5,000kW以上となる場合は、点検の外部委託ができなくなり、自社で電気主任技術者を常駐させる必要があるため、人件費を含めたさらなるコストの検討が必要になります。
低圧か高圧か?規模や目的に合わせた最適な選び方
低圧は「初期費用や管理コストが低いものの、発電量(削減効果)が限定的」、高圧は「初期費用や管理コストはかかるが、大きな削減効果とスケールメリットが得られる」という特徴があります。
どちらが貴社にとって最適かを判断するためには、単純な日照時間や発電量の計算だけでなく、キュービクル保守費用や届出にかかる手間も含めた「精緻な損益シミュレーション」を行うことが不可欠です。
しかし、自社内だけで法規制の変化や詳細なコストを算出するのは非常に困難です。そのため、設備の設計から施工、法的手続き、そして設置後の保守管理までを一貫して任せられるプロフェッショナルなパートナー選びが成功の鍵を握ります。
まとめ:太陽光発電の導入から保安管理までワンストップのユニエコへ
本コラムでは、太陽光発電における「低圧」と「高圧」の違い、そして2023年の法改正による「小規模事業用電気工作物」の新たな義務について解説しました。どのような規模であれ、法令を遵守し、安全かつ長期的にメリットを享受できる体制づくりが求められています。
産業用太陽光発電の導入で確かなパートナーをお探しなら、ぜひ「ユニバーサルエコロジー」にご相談ください。
当社は1996年の創業以来、総実績数5,000件以上を誇る再生可能エネルギーのプロフェッショナル集団です。単なる設備の販売・施工にとどまらず、お客様の環境に合わせた最適な損益シミュレーションから、設計・施工、O&M(保守管理)、さらにはキュービクルの保安管理までを自社一貫で行う「ワンストップ体制」を構築しています。
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