2026.08.30
低圧系統用蓄電池とは?仕組み・高圧との違い・注目される理由をわかりやすく解説
「低圧系統用蓄電池」という言葉を、最近目にする機会が増えてきたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
再生可能エネルギーの普及が進む一方で、発電量と電力需要のバランスを調整し、電力を安定して供給するための仕組みが求められています。そうした中で注目されているのが、電力系統に接続して電気を充放電する「系統用蓄電池」です。
系統用蓄電池には、「高圧」で接続するものと「低圧」で電力系統に接続するものがあり、それぞれ設備規模や必要なスペース、系統連系の手続きなどに違いがあります。本コラムでは、低圧系統用蓄電池の基本的な仕組みから、高圧系統用蓄電池との違い、収益化の仕組み、そしてなぜ今注目されているのかまで、わかりやすく解説します。
この記事のポイント
- 低圧系統用蓄電池は、電力系統に接続して充放電を行い、電力の需給バランスの調整などに活用される蓄電池。
- 連系出力50kW未満の低圧設備で、高圧系統用蓄電池と比べて限られたスペースでも設置を検討しやすい。
- 再生可能エネルギーの普及や、2026年4月から低圧設備の需給調整市場への参加が可能になったことなどを背景に、注目が高まっている。
- 低圧系統用蓄電池は、蓄電池に投資して保有・運用する方法だけでなく、施設の空きスペースを設置場所として提供し、賃料を得る方法もある。
低圧系統用蓄電池とは
蓄電池には、用途に応じてさまざまな種類があります。
工場や店舗、公共施設などに設置し、電気料金の削減や非常時の電源確保などに活用する「産業用蓄電池」に対し、電力系統に接続して電力の需給バランスの調整や電力市場での取引などに活用されるのが「系統用蓄電池」です。
低圧系統用蓄電池は、こうした系統用蓄電池のうち、低圧区分で電力系統に接続する設備を指します。低圧設備ならではの特徴として、比較的小規模な設備として設置しやすく、限られたスペース(約6坪・駐車場2台分程度)を活用できる点が挙げられます。

系統用蓄電池の収益化の仕組み
系統用蓄電池は、電力市場での取引や需給調整への参加を通じて収益化されます。
これらは高圧・低圧に共通する基本的な仕組みですが、低圧系統用蓄電池では、1台あたりの規模が小さいため、アグリゲーターによる複数設備の集約が重要になります。
① 電力価格の変動を利用した取引
電気の価格は、時間帯や電力の需給状況によって変動します。
例えば、太陽光発電による発電量が多い日中など、電力が余りやすい時間帯は価格が下がり、需要が高まる時間帯は価格が上がる傾向があります。
電力は、発電事業者や小売電気事業者などが取引する「電力市場」で売買されており、需要と供給の状況に応じて取引価格が決まります。系統用蓄電池では、こうした価格変動を利用し、電力価格が比較的安い時間帯に電力を購入して蓄電池に充電し、価格が高い時間帯に蓄電池から放電して電力を売却することで、その価格差を収益につなげることを目指します。
② 需給調整への参加
電力系統では、電力の供給量と需要量のバランスを常に「同時同量」に保つ必要があります。
蓄電池は、必要なタイミングで充電・放電することで、この需給バランスを調整する役割を担います。蓄電池の持つ調整力を需給調整市場に提供し、その対価を得ることで収益化を目指すことができます。
こうした市場への参加や蓄電池の充放電制御は、アグリゲーターと呼ばれる専門事業者が担うのが一般的です。アグリゲーターは、複数の蓄電池をまとめて運用し、それぞれの設備が持つ調整力を束ねて市場に提供します。
高圧系統用蓄電池と低圧系統用蓄電池の違い
系統用蓄電池は、電力会社の電力系統への接続方法によって、「低圧系統用蓄電池」と「高圧系統用蓄電池」に分けられます。
大きな違いは、電力系統に接続する際の区分と、それに伴う設備の規模です。系統連系においては、低圧連系は連系出力50kW未満、高圧連系は50kW以上が基本的な区分となります。
この違いによって、設備の規模や必要となる設置スペース、系統連系に関する手続き、導入にかかる期間や費用などに違いが生じます。
一般的に、低圧系統用蓄電池は小規模な設備として設置しやすく、限られたスペースを活用できる点が特徴です。一方、高圧系統用蓄電池はより大規模な設備となるため、広い土地や高圧受変電設備などが必要になるケースがあります。
こうした設備規模や必要となる設備・工事の違いから、初期投資額にも差が生じます。低圧系統用蓄電池は、設備規模を抑えやすく、高圧系統用蓄電池と比べて初期投資を抑えられるケースがあります。こうした違いを整理すると、以下のようになります。
| 比較項目 | 低圧系統用蓄電池 | 高圧系統用蓄電池 |
|---|---|---|
| 連系出力 | 50kW未満 | 50kW以上 |
| 設備規模 | 小規模な設備として設置しやすい | 大規模な設備となるケースが多い |
| 設置スペース | 限られたスペースでも検討しやすい | 広い土地が必要となるケースが多く、土地の状態によって造成工事などが必要 |
| 受変電設備 | 高圧受変電設備を前提としない構成を検討しやすい | 高圧受変電設備が必要 |
| 初期投資 | 比較的抑えやすい | 設備規模が大きくなりやすく、高額になりやすい |
| 市場参加 | アグリゲーターを介した参加が基本 | 設備規模や参加する市場に応じて、単独またはアグリゲーターを介して参加 |
なぜ今、低圧系統用蓄電池が注目されているのか
再生可能エネルギーの普及と出力制御への対応
太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは、天候や時間帯によって発電量が変動します。
再生可能エネルギーの導入が拡大する一方で、発電量と電力需要のバランスを保ち、電力を安定して供給するための調整力がより重要になっています。
電力系統では、電力の供給量と需要量を常に「同時同量」に保つ必要があります。
特に、太陽光発電などの発電量が電力需要を上回る場合には、需給バランスを保つために、発電設備の出力を抑える「出力制御」が行われることがあります。出力制御が行われると、本来発電できる再生可能エネルギーの電力を電力系統へ送れず、再生可能エネルギーを十分に活用できないという課題があります。
系統用蓄電池は、再生可能エネルギーの発電量が多い時間帯に電力を蓄え、需要が高まる時間帯などに放電することで、再生可能エネルギーの電力を有効活用する手段の一つとして期待されています。
2026年4月、低圧設備にも市場参加が拡大
再生可能エネルギーの普及に伴い、電力の需給バランスを調整する手段として、系統用蓄電池の活用が進んでいます。
こうした中、蓄電池を活用して需給バランスの調整に参加し、その対価を得る「需給調整市場」も整備されています。
これまで、需給調整市場への参加は、高圧・特別高圧などの一定規模以上の設備が中心でした。2026年4月以降、50kW未満の低圧設備についても、アグリゲーターを介して需給調整市場への参加が可能となりました。
これにより、1台あたりの規模が小さい低圧系統用蓄電池も、複数の設備をアグリゲーターが束ねることで、需給調整市場に参加できるようになりました。低圧設備でも、蓄電池の持つ調整力を市場で活用して収益化を目指せるようになったことが、低圧系統用蓄電池が注目される大きなきっかけの一つとなっています。
限られたスペースを活用しやすい
低圧系統用蓄電池は、太陽光発電とは異なり日当たりを必要としないため、既存施設の敷地内にある空きスペースなども設置場所として検討できます。建物の裏側や駐車場の一角など、これまで活用していなかったスペースを活用できる可能性があることも、低圧系統用蓄電池が注目されている理由の一つです。
ただし、設置には蓄電池本体だけでなく、電力の受け渡しや保護・制御に必要な機器も必要です。
また、系統への接続条件や設備の搬入・設置工事に必要なスペース、進入経路なども確認する必要があります。土地の状況によっては造成工事などが必要になる場合もあるため、設置場所は広さだけでなく、系統接続や工事条件まで含めて検討することが重要です。
系統接続の混雑と、早期検討の重要性
低圧系統用蓄電池を設置する場合、蓄電池を電力系統に接続するため、一般送配電事業者への系統連系申込みが必要です。
系統連系では、設置場所周辺の電力系統の混雑状況や空き容量などを確認し、蓄電池を接続できるか、追加の設備工事が必要かなどが検討されます。
系統の空き状況に関する情報は、各一般送配電事業者のWebサイトなどで確認できる場合があります。ただし、公開情報だけでは実際の接続可否を判断できないため、設置場所の候補が決まった段階で、早めに系統連系の可否や必要な手続きを確認することが重要です。
また、低圧系統用蓄電池の機器選定にあたっては、系統連系に必要な技術要件を満たしているかを確認することも重要です。さらに、機器を選定する際は、サイバーセキュリティに関する制度である「JC-STAR」への対応状況など、関連する制度・基準についても確認しておくとよいでしょう。
低圧系統用蓄電池で収益化する2つの方法
低圧系統用蓄電池で収益を得る方法には、大きく分けて2つあります。
投資として蓄電池を保有する
蓄電池設備そのものを取得し、電力市場での取引などによる収益を目的とする方法です。
この場合、設備投資の規模や収益の仕組み、市場動向、運用・保守などについて、専門的な検討が必要になります。
土地・スペースを貸して収益化する
施設の未活用スペースを蓄電池の設置場所として提供し、その対価として賃料を得る方法です。
蓄電池の設置・運用・保守は専門の事業者が行うため、土地を提供する側が蓄電池を購入したり、電力市場で取引したりする必要はありません。店舗運営への影響を抑えながら、未活用スペースを収益化できる点が特徴です。
空きスペースを活用した低圧系統用蓄電池
低圧系統用蓄電池は、比較的小規模な設備として設置できるため、すでに施設が建っている商業施設や店舗などの敷地内にある空きスペースを設置場所として活用できる可能性があります。既存施設の敷地であれば、設備の設置に必要な地盤や搬入経路などが整っているケースもあり、新たな造成工事を必要としない設置場所を検討しやすいことも特徴です。
ユニバーサルエコロジーでは、商業施設や店舗などの施設をお持ちの企業様に向けて、低圧系統用蓄電池の設置・運用サービスを提供しています。空きスペースを提供する企業様は、蓄電池を購入・運用することなく、空きスペースの収益化を目指せます。
また、当社は、複数の蓄電池をまとめて電力市場で活用するアグリゲーターとしての役割を担っています。
さらに、電力を調達して企業や自治体などへ供給する小売電気事業者としても事業を展開しています。蓄電池の設置・運用だけでなく、電力市場での活用や電力の調達・供給まで手掛けていることが、当社の強みです。
「店舗や商業施設の敷地内にある空きスペースを活用したい」「駐車場の一角や建物の裏側などを有効活用したい」といった企業様は、低圧系統用蓄電池による新たな土地活用をご検討ください。





