直すなら、発電量の回復につながるように
太陽光発電は、運用期間の経過とともにパネルやパワーコンディショナー(PCS)などの経年劣化により、導入時に比べて発電量が低下していきます。
対策が遅れるほど、本来得られるはずの売電収入を取りこぼし続けることになります。
限られたFIT期間で最大の収益を生み出すには、発電量低下の原因を特定し、直せる部分を直したうえで、設備更新を発電量改善につなげることが重要です。
点検報告書や発電データを分析し、汚れ・影・ストリング欠損・PCS・受変電設備などの影響を切り分けます。そのうえで、発電所ごとに最適な修繕・適正化とリパワリングをご提案します。
リパワリングとは?
長く稼働してきた太陽光発電所の設備を新しくして、発電量と収益をもう一度伸ばす取り組みです。運転から10年以上が経つと、電気を変換する機器やケーブルが古くなり、気づかないうちに発電量が落ちていることがあります。故障箇所を修繕するだけでなく、電気のロスが少ない機器への交換、より多く発電できるパネルへの張替え、影の影響を抑える装置の追加、配線のやり直し、蓄電池の設置といった方法で、発電所の稼ぐ力そのものを高めます。買取期間が残るうちの収益改善にも、将来手放すときの評価にもつながります。
以下のコラムにて詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
運転10年目からの10年で、収益差は約3,600万円
認定出力500kW・FIT24円・運転10年目の標準モデルで比較します。
計画的に修繕・適正化とリパワリングを行うことで、発電量低下や突発停止による売電収入の損失を抑え、残るFIT期間の収益改善を目指します。
標準モデル:500kW発電所の修繕・リパワリング モデルケース
設備認定出力500kW高圧・地上設置/PCS 250kW×2台+受変電設備
売電条件FIT24円/20年2016年度(平成28年度)認定
経過運転10年目・残り10年PCS・受変電設備が更新検討期へ
現状のまま運転した場合と、修繕・リパワリングを実施した場合
現状のまま10年間の売電収入約1億4,880万円
計画的に実施10年間の売電収入約1億8,480万円
その差10年間の収益差約3,600万円STEP 1 約2,850万円+STEP 2 約750万円
「約3,600万円」は10年間の売電収入の差で、投資額は含みません。計画実施後もモジュールの経年劣化などにより発電量は緩やかに低下します。グラフの故障時期・停止期間・低下率は標準モデル上の想定であり、実際の発生時期や効果を保証するものではありません。
認定出力・FIT単価・残りFIT期間から確認できます。
設備更新は避けにくい。違うのは「いつ、どう直すか」
PCSの寿命は一般に10~15年、キュービクルなどの受変電設備における盤内高圧機器の更新推奨時期は概ね15~20年です。運転10年目以降は、更新するかどうかではなく、いつ、どの範囲を更新するかが重要になります。
受変電設備が止まれば、発電所全体が停止します。部材の調達や工事調整を含め、復旧までに数週間から数か月を要する可能性があります。
| 比較項目 | 故障してから事後対応する費用を払っても、元に戻すだけ | 故障する前に計画的に更新する更新費用を、発電量改善につなげる |
|---|---|---|
| 実施時期 | 選べない。発電量の多い時期に停止する可能性がある | 選べる。発電量が少ない時期に工事を調整しやすい |
| 停止期間 | 発見・部材調達・工事で数週間~数か月 | 事前に段取りを組み、停止期間を抑えやすい |
| 停止損失 | PCS1台が3か月停止すると約190万円。受変電設備が2か月停止すると約250万円 | 計画停止により、売電損失を抑えやすい |
| 費用・計画性 | 緊急対応となり、仕様・見積・工期を比較しにくい | 仕様・見積・工期を事前に比較できる |
| 復旧・更新後 | 故障箇所は戻っても、発電量低下の要因は残る | 高効率・分散型PCSへの更新で、発電量と可用性の改善を図れる |
避けられない支出なら、発電量改善につながるタイミングで。残りのFIT期間が長いほど、改善効果を回収できる期間も長くなります。
2つのステップで、発電量を回復し、収益を伸ばす
いきなり設備をすべて更新するのではありません。まず直せるものを直す「修繕・適正化」を行い、
それでも残る経年による発電量低下を、設備更新による「リパワリング」で取り戻します。
施策前
全国平均の水準
15.4%年1,619万円
汚れ・欠損・PCS停止など、直せる損失が積み上がっている可能性があります。
STEP 1
修繕・適正化
約17.2%年1,813万円(+194万円)
除草・洗浄・影対策、欠損ストリングの復旧、PCSの整備で、低下前に近い水準へ戻します。
STEP 2
リパワリング
18.0%年1,889万円(+270万円・施策前比)
PCS更新や高効率機器への入れ替えで、発電量をさらに底上げし、故障リスクも抑えます。
数値は設備利用率です。全国の実績平均15.4%を施策前の水準とし、STEP 1・STEP 2の改善率を乗じた標準モデルです。
※上記数値は、公表されている一次データと、当社が置いた想定値を組み合わせた理論値です。実際の効果を保証するものではありません。
この試算の根拠
公表されている一次データと、当社が置いた想定値を組み合わせた理論値です。実際の効果を保証するものではありません。
出発点は、国が毎年集計している設備利用率の実績です。認定出力500kW・FIT24円に換算した年間売電収入を併記しています。
同じ規模・設置形態でも年間326万円の開きがあります。ただし、この差のすべてを取り戻せるわけではなく、日射量・設置角度・方位など後から変えにくい条件も含まれます。
STEP 1 修繕・適正化、STEP 2 リパワリングの内訳
| 区分 | 発電量を下げる要因 | 想定 | 考え方 |
|---|---|---|---|
| STEP 1 修繕で戻る +12.0% |
汚れ・雑草・後発の影 | +5.0% | JPEA事例では10%以上、影で約20%低下した例があり、標準モデルでは代表値5.0%を採用。 |
| ストリング欠損・モジュール故障 | +3.0% | 欠損回路が複数発生している標準モデル上の想定。 | |
| PCSの停止・整備不良 | +4.0% | フィルター目詰まりや温度上昇による出力低下、年間の停止を想定。 | |
| STEP 2 リパワリング +4.7% |
モジュールの経年劣化(10年分) | +2.7% | 太陽光発電協会が国内メーカーの実例として想定する0.27%/年×10年。 |
| PCS更新による変換効率の向上 | +2.0% | 2016年当時の機種から現行機種への更新による改善想定。機種により異なります。 | |
| 対策できない部分 3.4% |
出力制御 | 2.0% | エリア差があります。リパワリングでは減らないため、別の対策が必要です。 |
| 立地・設計の差 | 1.4% | 日射量、設置角度・方位、過積載率など、後から変えにくい条件です。 |
各項目の配分は標準モデル上の代表値です。実際の内訳は、点検報告書と発電データの分析で特定します。
数値の出典一覧
| 数値 | 値 | 出典 |
|---|---|---|
| 設備利用率 | 平均15.4%/上位15%水準18.5% | 資源エネルギー庁 調達価格等算定委員会 第110回(2026年1月)資料1「太陽光発電について」p.46 |
| FIT24円 | 2016年度・10kW以上・20年 | 資源エネルギー庁「過去の買取価格・期間等」 |
| モジュール経年劣化率 | 0.27%/年 | 環境省「太陽光発電の導入見込量と関連情報について」p.9 |
| 不具合による発電量低下 | 雑草の影10%以上、影で約20%など | 太陽光発電協会「太陽光発電システムの不具合事例とその対処例」(2020年3月31日) |
| PCSの寿命・変換効率 | 寿命10~15年/変換効率95~98% | メーカー各社の公開値・保証条件 |
| 受変電設備の更新推奨時期 | 盤内高圧機器は概ね15~20年 | 日本電機工業会の調査報告・各電気保安協会とメーカーの公開値 |
| グラフの低下率・故障時期 | 現状 年-1.0%/計画後 年-0.5%ほか | 当社標準モデル上の想定値。実際の発生時期は予測できません。 |
発電量の低下は、設備の経年劣化だけに起因するものではありません。根本原因を特定したうえで、お客様の発電所に合わせた方法をご提案します。
リパワリングシミュレーション:投資額と回収年数を試算する
認定出力500kW級での概算費用と効果を、3つのパターンに分けました。下のシミュレーターで、ご自身の設備条件と投資額に置き換えて確認できます。
| パターン | 実施内容 | 投資額の目安 | 期待する効果 |
|---|---|---|---|
| A 修繕・適正化 |
除草・パネル洗浄・影対策、欠損ストリングの復旧、PCSの整備 | 100~400万円 | 年 +194万円 最も回収が早い |
| B A+PCS更新 |
Aに加え、PCSを現行の高効率機種へ更新。分散型への変更を含む | 1,000~1,800万円 | 年 +270万円 経年劣化の回復と変換効率の向上 |
| C B+受変電設備 |
Bに加え、受変電設備を計画的に改修。更新範囲は診断結果で決定 | 1,600~3,000万円 | 年 +270万円 加えて、受変電設備故障による全停止リスクを低減 |
パターンCは回収年数だけで判断しません。受変電設備の更新は、発電量を直接増やす投資ではなく、発電所全体の停止リスクを抑えるための更新です。
残るFIT期間で回収できるか、条件を入れて確認
発電所の条件と実施パターンを選ぶと、年間の増収額・投資回収年数・FIT終了までの差額を自動計算します。
入力条件
①発電所の条件
年間売電収入:-
②実施パターン
選択すると、目安の投資額が自動で入ります。
③投資額
シミュレーション結果
計算中
年間の増収額-
投資回収年数-
回収後の増収期間-
残るFIT期間の内訳
残るFIT期間で手元に残る差 -
シミュレーション計算条件
計算式 年間発電量=認定出力×8,760時間×設備利用率、年間売電収入=年間発電量×FIT単価で計算しています。
試算の前提 改善率はA=+12.0%、B・C=+16.7%です。金額は税別で、金利・保守費の増減は含みません。現在の発電量が今後も横ばいで続く前提であり、実際の効果を保証するものではありません。
発電所の実測データで、投資判断を確かめる
ここまでの試算は、あくまで標準的な条件を設定したモデルケースです。実際には、汚れ・影・ストリング欠損・PCS・受変電設備など、発電量低下の原因と割合は発電所ごとに異なります。対策の内容と金額は、診断してから決めます。
日射量や設備仕様から期待発電量を確認し、実績との差を見ます。
汚れ・影・故障・PCS効率低下など、どこで発電量が落ちているのかを切り分けます。
出力制御や立地条件など、対策できない要因も含めて整理します。
PCSや受変電設備の状態を確認し、いつ対策すべきか判断します。
① 現地診断診断して内訳を出す
② 対策内容と金額の提示回収年数まで確認
③ 修繕・リパワリング点検から施工まで一貫対応
診断の結果、「今はリパワリングしない方がよい」という結論になることもあります。残るFIT期間や設備状態を踏まえ、お客様の利益につながる方法をご提案します。
太陽光発電所のメンテナンスは
点検から修繕まで
ワンストップでお任せください
O&Mサービスに関する
ご相談・ご依頼は
こちらからお問い合わせください






