2025.11.12
【令和7年度】太陽光発電・蓄電池に関する補助金制度の動向
企業の脱炭素経営を支える補助金制度の進化と前年度からの変化点
令和7年度(2025年度)の太陽光発電関連補助金制度は、脱炭素社会実現に向けた国の重要政策として、前年度から大幅な拡充と制度変更が行われています。事業用太陽光発電の導入を検討している企業の皆様に向けて、最新の補助金動向と前年度からの変化点をまとめました。
令和7年度補助金の主要な特徴と変化点
ペロブスカイト太陽電池導入支援の新設
令和7年度の最大の目玉は、ペロブスカイト太陽電池の社会実装モデル創出支援事業(予算5,020百万円)の新規創設です。
これは前年度にはなかった全く新しい補助制度で、次世代太陽電池技術の商業展開に向けた国の強力な後押しを示しています。
補助内容:
- 補助率:2/3または3/4
- 対象:地方公共団体、民間事業者・団体
- 主要条件:フィルム型で耐荷重10kg/m²以下、発電容量5kW以上、自家消費率50%以上
- 執行団体:一般社団法人環境技術普及促進協会
公募資料:
ストレージパリティ達成支援の継続・強化
令和6年度から継続する民間企業等による再エネの導入及び地域共生加速化事業(予算3,450百万円)では、太陽光発電と蓄電池のセット導入支援が強化されています。
令和7年度の補助額(太陽光発電):
- 業務用施設:PPA・リース5万円/kW、購入4万円/kW
- 産業用施設:PPA・リース7万円/kW
- 集合住宅:PPA・リース5万円/kW
蓄電池補助:
- 定額補助(上限:補助対象経費の1/3)
- EV・PHV(外部給電可能、V2H設備セット):蓄電容量の1/2×4万円/kWh
前年度からの変化点:
令和7年度から蓄電池の区分と最低導入容量の考え方が変更され、目標価格を超える場合でも蓄電池補助が交付されるようになりました。これにより、より多くの企業が補助制度を活用できる環境が整いました。
事業概要:
ソーラーカーポート導入支援の拡充
設置場所の特性に応じた再エネ導入・価格低減促進事業では、ソーラーカーポートの導入支援が継続・強化されています。
補助内容:
- ソーラーカーポート:8万円/kW
- 建物等一体型:補助率1/2(営農型・水面型)
- 建材一体型太陽光パネル:補助率3/5、1/2
執行団体:
一般社団法人環境技術普及促進協会
https://www.eta.or.jp/offering/2025/solarcarport/index.php
4. 系統用蓄電池導入支援の継続
経済産業省による再生可能エネルギー導入拡大・系統用蓄電池等電力貯蔵システム導入支援事業は令和7年度も継続実施されており、電力系統に直接接続する大規模蓄電池の導入を支援しています。
補助内容:
- 補助率:1/3(一部条件下で1/2)
- 対象:電力市場での取引等を通じて余剰再エネ吸収や調整力供出が可能な系統用蓄電池
執行団体:
一般社団法人環境共創イニシアチブ
事業概要:
「資源エネルギー庁」系統用蓄電池等導入支援事業
令和6年度との主な違い
令和7年度の補助金制度は、予算の見直しと新技術への投資強化が大きなポイントです。
地域脱炭素推進交付金は前年度よりやや減額されたものの、「ペロブスカイト太陽電池の導入支援(約50億円)」が新たにスタートしました。これにより、制度の方向性は単なる再エネ導入から、「地域×技術革新」による持続可能なエネルギー社会の構築へと明確に舵を切ったことが示されています。
予算規模の変化
- 令和7年度:地域脱炭素推進交付金38,521百万円(前年度42,520百万円から減額)
- 新規事業:ペロブスカイト太陽電池導入支援5,020百万円を新設
制度設計の変更点
- 蓄電池補助の柔軟化:目標価格を超える場合でも補助交付可能に
- ペロブスカイト太陽電池の本格支援開始:次世代技術の商業化支援
- 地域共生型再エネの重視:地域貢献を重視した補助要件の強化
企業が注目すべき補助金活用のポイント
1. 蓄電池併設の必須化:
太陽光発電単体での補助金は原則として廃止され、蓄電池との併設が必須要件となっています。
これは電力系統の安定化と自家消費率向上を目的とした政策転換を示しています。
2. 自家消費率の重視:
太陽光発電単体での補助金は原則として廃止され、蓄電池との併設が必須要件となっています。
これは電力系統の安定化と自家消費率向上を目的とした政策転換を示しています。
3. PPA・リースモデルの優遇:
初期投資負担を軽減するPPA(電力購入契約)やリースモデルに対する補助額が自己設置(購入型)より高く設定されており、資金調達手法の多様化が図られています。
4. 申請スケジュールの早期化:
多くの補助制度で公募期間が短縮傾向にあり、早期の情報収集と申請準備が重要になっています。
まとめ:今後の補助金動向予測
令和7年度の太陽光発電関連補助金制度は、前年度と比較して技術革新支援と制度の柔軟化が進んでおり、2030年カーボンニュートラル目標達成に向けた中間段階として、以下の方向性が明確になっています。
特にペロブスカイト太陽電池導入支援の新設は、日本が世界をリードする次世代太陽電池技術の社会実装に向けた重要な一歩となります。
- 技術革新の加速:ペロブスカイト太陽電池等の次世代技術への重点投資
- システム統合の推進:太陽光発電・蓄電池・エネルギーマネジメントの一体導入
- 地域経済循環の重視:地域共生型再エネによる地方創生との連携
- 脱炭素経営の主流化:企業の自主的な脱炭素取組への移行促進
企業の皆様には、単なる設備導入支援から脱炭素経営全体の支援へと発展する補助金制度を戦略的に活用し、持続可能な経営基盤の構築を進めていただくことをお勧めします。
参照資料:
太陽光発電導入に関する補助金の詳細情報や申請サポートについては、補助金情報ページをご確認ください。
専門スタッフが皆様の脱炭素経営実現をサポートいたします。

