2026.01.23
出力制御とは?仕組みや2026年最新ルール、売電損失を防ぐ「系統用蓄電池」まで徹底解説
「せっかく発電しているのに、出力制御で収益が減ってしまう・・・」 再生可能エネルギーの導入が進む一方で、多くの発電事業者様がこの「出力制御(出力抑制)」という壁に直面しています。特に、無制限・無補償の「指定ルール」が主流となった今、適切な対策を講じなければ売電収入の減少は避けられません。
本記事では、出力制御が起きる根本的な仕組みから、最新のエリア別ルール、そして損失を最小限に抑え、さらには新たな収益へと転換させる「系統用蓄電池」の活用法まで、5,000件以上の実績を持つユニバーサルエコロジーが詳しく解説します。
この記事のポイント
- 出力制御には「需給バランス制約」と「送電容量制約」の2種類がある
- エリアや連系時期によって「30日」「360時間」「指定(無補償)」と適用ルールが異なる
- 出力制御による売電損失を、新たな収益源へと転換させる「系統用蓄電池」の活用が、これからの再エネ経営における最適解
出力制御(出力抑制)とは
出力制御(出力抑制)とは、電力の「需要(消費)」と「供給(発電)」のバランスを保つために、電力会社(一般送配電事業者)が発電事業者に対して、一時的に発電や送電を停止・抑制するよう指令を出すことです。
電気は、蓄電池などの設備を通さない限り「貯めておくこと」ができません。そのため、電力系統全体としては、常に「使う量」と「作る量」を一致させる必要があります(同時同量の原則)。
供給が需要を大きく上回ると、電気の周波数が乱れます。周波数の乱れは、発電設備そのものに過大な負荷をかけ故障の原因となり、最悪の場合には、連鎖的に大規模な停電(ブラックアウト)を引き起こす恐れがあるため、これらを防ぐために発電所の出力を調整する必要があるのです。
出力制御が増えている背景
近年、再生可能エネルギーの導入拡大により、日本の電力供給構造は大きく変化しています。中でも太陽光発電は導入が急速に進み、晴天時の昼間には需要を上回る電力が発電されるケースが全国的に見られるようになりました。
特に春や秋は発電量が多い一方で、冷暖房需要が少なく、電力消費が伸びにくい時期です。この需要と供給のミスマッチが常態化していることが、出力制御が増加している主な要因となっています。
さらに、送電線や変電所などの電力系統設備には容量の限界があり、発電された電力をすべて受け入れられるわけではありません。加えて、需給調整を担ってきた火力発電は急な出力調整が難しく、結果として再生可能エネルギー側に需給調整の負担が集中しています。
出力制御の増加は、再生可能エネルギーが主力電源へと移行する過程で生じた構造的な課題であり、今後は蓄電池の活用や系統整備、需要側の柔軟な制御を進めることで、その必要性を抑えていくことが求められています。
出力制御が起きやすい時期と「複数エリア同時制御」
出力制御は一年中均等に発生するわけではなく、電力需要が最も低下する「春(4〜5月)」や「秋(10〜11月)」の晴天時、特に産業用需要が減るゴールデンウィークや年末年始に集中する傾向があります。
また、近年顕著なのが「複数エリア同時出力制御」の発生です。これまでは、あるエリアで電気が余っても、地域間連系線を使って他エリアへ送電(広域融通)することで制御を回避できていました。しかし、全国的に太陽光発電が増加した現在では、隣接するエリアも同時に「余剰」となるケースが増えています。
実際に2024年・2025年のゴールデンウィークには、東京エリアなど一部を除く全国7~8エリアで同時に出力制御が実施されました。「他エリアへ送れば解決する」という手段が通用しづらくなっており、今後は「各エリア(電力管内)でいかに電気を吸収・活用するか」が問われるフェーズに入っています。

出典:経済産業省 資源エネルギー庁『再生可能エネルギー出力制御の短期見通し等について(2025年12月24日)』
「需給バランス制約」と「送電容量制約」の違い
出力制御には、大きく分けて2つの理由(制約)が存在します。ニュース等でよく耳にするのは前者ですが、近年は後者の「送電容量」による制御も注目されています。
- ● 需給バランス制約(エリア全体の調整)
- 電気を作る量が使う量を超え、エリア全体で電気が余る状態です。
他エリアへの送電(広域融通)を行ってもなお余剰が生じる場合に、需給バランスを維持するために実施されます。 - ● 送電容量制約(送電線の混雑)
- 特定のルート(送電線)が満杯になり、それ以上電気を流せない状態です。
特に注意が必要なのは、近年、新規で稼働した発電所の多くが採用している「ノンファーム型接続」という契約形態です。これは「空いている時間帯に限り送電線を利用できる」という条件で早期接続を認める仕組みのため、送電線が混雑した際には、このノンファーム型発電所が優先的に出力制御の対象となります。
優先給電ルール:出力制御される順番
出力制御される発電所は、国が定めた「優先給電ルール」に基づき、抑制の順番が厳格に定められています。
電力需要は時間帯で変動し、太陽光や風力などの再生可能エネルギーは天候の影響で発電量が大きく変動するため、需給バランスを常に一致させることは以前より難しくなっています。
電力会社はこのルールに沿って、柔軟に調整可能な火力発電や蓄電池、揚水発電で余剰電力を吸収し、地域間連系線を通じて他エリアへ送電するなど、段階的に需給バランスを整えます。それでも余剰電力が残る場合には、バイオマス発電の出力調整を経て、はじめて太陽光などの再生可能エネルギーが制御されます。水力、原子力、地熱などのベースロード電源は、短時間での調整が難しく、出力を下げると回復に時間を要するため、最終手段として位置づけられています。このように、再生可能エネルギーは最初に止められる電源ではなく、あらゆる手段を尽くしたうえで、なお余剰が生じる場合に限って制御されるのです。

出典:経済産業省 資源エネルギー庁『出力制御について』をもとに作成
出力制御の3つのルール
出力制御には、発電所の「連系開始時期」や「エリア」によって適用されるルールが異なります。ご自身の発電所がどれに該当するかを正確に把握することは、安定した収益確保に向けたリスク管理の第一歩です。
1. 旧ルール(30日ルール)
2015年1月25日以前に系統接続の申込みを行った発電所に適用されます。「年間30日」を上限として、無補償で出力制御が行われます。現在は高圧以上(概ね500kW以上)の案件が主な対象となるケースがほとんどです。
2. 新ルール(360時間ルール)
2015年1月26日から2018年3月31日までの期間に系統接続の申込みを行った発電所に適用されます。「年間360時間」を上限として、無補償で出力制御が行われます。「時間単位」で管理されるため、より細かな出力調整が可能です。
※重要:東京・中部・北陸・関西・中国・四国エリアの特定期間の案件に適用されます。北海道・東北・九州エリアは原則として「指定ルール」が適用されます。
3. 指定ルール(無制限・無補償)
2021年4月1日以降に系統接続の申込みを行った発電所が対象の、現在最も主流となっているルールです。エリアによってはこれ以前の連系でも適用される場合があります。指定電気事業者の管内では、「無制限かつ無補償」で出力制御が行われ、売電収入の補填はありません。
| ルール名称 | 無補償の上限 | 主な適用状況 |
|---|---|---|
| 旧ルール(30日ルール) | 年間30日まで | 2015年1月25日以前の申込み案件 |
| 新ルール(360時間ルール) | 年間360時間まで | 2015年1月26日〜2018年3月31日の申込み案件(※一部エリア除く) |
| 指定ルール(無制限・無補償) | 上限なし(無制限) | 2021年4月1日以降の申込み案件(現在の主流) |
エリア別の出力制御状況と適用ルール
出力制御の発生頻度やルールは地域によって大きく異なります。特に九州や東北などでは、すでに「指定ルール(無制限・無補償)」への移行が完了しており、経営への影響が顕著です。
エリア別の実施状況と今後の見通し
| エリア | 出力制御の状況(2025年見通し) | 適用ルールの現状 |
|---|---|---|
| 北海道・東北 | 発生頻度が高い。特に春・秋の制御量は増加傾向。 | 指定ルール適用済み(無制限・無補償) |
| 北陸・中部 | ゴールデンウィークを中心に発生が定着。 | 指定ルール適用済み(無制限・無補償) |
| 関西・中国・四国 | 通年での発生リスクあり。複数エリア同時制御が多い。 | 指定ルール適用済み(無制限・無補償) |
| 九州 | 全国で最も発生頻度が高く、対策が急務のエリア。 | 指定ルール適用済み(無制限・無補償) |
| 東京 | 2024年度に初の実施を検討。揚水発電の活用等で回避されたが今後は発生の可能性大。 | 2021年4月以降の案件は指定ルール |
出典:経済産業省 資源エネルギー庁『再生可能エネルギー出力制御の短期見通し等について(2025年12月24日)』をもとに作成
出力制御による「売電損失」を防ぐ対策は?
出力制御は、電力会社が一方的に止めるものと思われがちですが、実は「どのような設備で、どう止めるか」という発電事業者側の対応次第で、受ける損失額を大きく変えることができます。
指定ルールの拡大により、出力制御の対策なしでは収益が減り続ける時代となりました。出力制御の対象となった際の売電収入の損失は、今や発電事業者にとって無視できない深刻な経営リスクです。しかし、これらの損失を最小限に抑え、さらには収益へと転換させる有効な手段が存在します。
まず取り組むべきは、損失を最小限に抑えるための「オンライン制御への切り替え」です。
1. 太陽光発電所のオンライン制御化
出力制御には、手動で止める「オフライン制御」と、自動調整する「オンライン制御」があります。まずは、ご自身の発電所がどちらに該当するかを把握することが、収益を守る第一歩です。
- ● オンライン発電所
- 通信設備により、電力会社が遠隔で出力を制御できる発電所。
システムが自動で必要な時間帯だけ制御を行うため、売電機会の損失を最小限に抑えられます。 - ● オフライン発電所(遠隔制御不可)
- 電力会社からの停止指令に対し、手動での対応が必要な発電所。
現実的には手動制御は困難なため、他のオンライン発電所が制御を肩代わりする「オンライン代理制御(経済的出力制御)」が適用されます。この場合、発電は継続できますが、肩代わり分の「精算金」が売電収入から差し引かれます。特に旧ルール(30日ルール)対象者の場合、短時間の制御でも「1日分」としてカウントされる実務上のリスクもあり、知らない間に収益が減り続けるという経営上の大きな足かせとなります。
現在、電力会社がオンライン化を強く推奨しているのは、この「代理制御」による不透明な不利益を解消するためです。オンライン化を後回しにしていると、「売電収入から実質的な精算金が差し引かれ続ける」状態が続きます。
代理制御による損失を避け、本来得られるはずの収益を確実に手元に残すために、オンライン制御化(通信設備の導入)は、再エネ経営における「必須の守り」と言えるでしょう。
オンライン化の実現には、「電力会社への煩雑な申請業務」「各パワコンに適合する機材の選定」「現地での設置工事」「通信疎通テスト」といった多岐にわたる工程が必要です。ユニバーサルエコロジーでは、これらすべての実務をワンストップで代行。発電事業者様は面倒な手続きに悩まされることなく、最短ルートで収益を最大化させる「守りの経営」へと移行できます。
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2. 系統用蓄電池の導入(アービトラージによる収益化)【最適解】
これからの再エネ経営における「攻め」の最適解が、系統用蓄電池の活用です。
出力制御は太陽光発電所にとって「損失」ですが、系統用蓄電池にとっては、電気が余り市場価格が下落する時間帯こそが「収益の源泉」へと変わります。
電気が余り市場価格が0.01円/kWhなどの底値になる時間帯に、卸電力市場(JEPX)から電気を安値で「充電(仕入れ)」し、需要が高まり価格が高騰する夕方や夜間に「放電(売却)」する。この価格差を利用した取引をアービトラージ(裁定取引)と呼びます。出力制御というピンチを、収益を生むチャンスに変えることができるのです。

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まとめ
出力制御は、再エネ主力電源化に伴い避けては通れない課題です。
また、発電事業者様にとっては長期的な収益性を左右する極めて重要な経営リスクと言えます。
特に「送電容量制約」による混雑や、上限のない「指定ルール」の適用範囲は今後も拡大が予想されます。こうした厳しい環境下にあっても、適切な対策を講じることで、リスクを最小限に抑えるだけでなく、新たな収益機会へと転換させることが可能です。
- 守りの対策:太陽光発電所のオンライン制御化を完了させ、代理制御による不透明な精算損失を回避すること。
- 攻めの対策:系統用蓄電池を活用し、卸電力市場の価格差を利用した「収益の源泉」を構築すること。
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