コラム

太陽光発電設備の設計基準改定とその後

今年7月、太陽光発電設備の設計基準が改訂された。

前回の記事で設計基準と事業者評価制度の関わりについて述べたが、設計基準や太陽光発電設備をめぐる法制は今後、どのようになっていくのだろうか。

 

設計ガイドラインは2018年度中に改訂される

このニュースを読む中で、意外と取り上げられていないのが、「2018年度中に予定されている設計ガイドラインの改訂」という一言である。つまり、今回の改訂は、2018年度中にさらなる改訂を行うことを見込んだうえ行われている、ということである。

 

2018年度中に行われる改訂については

 (以下 「スマートジャパン」より引用)

・被害事例の追加(土砂災害や水害、基礎の沈下または崩壊、課題の損傷等)

・排水計画の追加

・設計荷重の拡充(傾斜地での風速増加や地方自治体が定めた垂直積雪深等)

・使用材料の明記

・杭の許容支持力(試験結果と計算式の比較)や各種杭の特徴

・架台の設計(基本構造形式の安定原理や部材設計、接合部の設計等)

・腐食事例と腐食対策方法の追加

(引用ここまで)

とされている。

この追加事項については、広島、岐阜に甚大な被害をもたらした平成30年7月豪雨の教訓も盛り込まれることだろう。

 

視点を変えてみよう。

今まで、上記の7項目について設計条件として考慮されている案件が少なかった、ということではないだろうか。

 

「健全」な太陽光発電事業者とは

特に50kw以下の低圧案件については、太陽光発電設備のキャッチコピーとして「利回りの良い投資」という側面が強調されていたこともあり、個人の投資家が大量に市場に参入した。この大量の需要に応えるべく、EPC業者も大量に市場に参入した。結果、「質の良くない」太陽光発電設備が粗製乱造されてしまう結果となってしまったようだ。

 

太陽光発電設備に関する規制や法律が後手後手に回っているのは

・単価の高い売電価格の案件が、建設の手控えによりいわゆる「塩漬け*」になった。

・行政が予想する以上のスピードで太陽光発電設備が建設された。

・想定以下の施工品質の太陽光発電設備が多かった。

こういった条件が重なり、後追いでも規制をかけていかないことには健全な市場が醸成されないからだ。

 

昨年の改正FIT法の施行、今年は新たな設計基準と事業者評価制度の公表、そしてこれから行われる設計基準の見直し、と徐々に規制の輪が狭められていく印象を抱く。

 

特に改正FIT法と事業者評価制度の公表については、行政側は太陽光発電事業者に対して「意識を変える」「不誠実な事業者を排除する」など、いままでの「投資目的」から「20年間継続させる事業」「環境意識」といった方向にシフトさせたいことを明確に打ち出してきている。

 

これから太陽光発電事業を考えている方へ

これからの太陽光発電事業への参入は、後追いでかけられる規制の情報を先取り、先読みし、予測される規格やガイドラインに適合させられる設備を設計することができるEPC業者を選択することが肝心である。

 

(文:太陽光発電TIMES編集部 H.)

 

用語:

「塩漬け」: 高い単価で売電するため、案件を確保する設備認定を取得しておき、市場がこなれて機器の性能UPや機器価格、施工価格の低下を待っている状態のことを指す。

参考:

 “太陽光発電システム設計ガイドラインを策定”. NEDO.  http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100975.html, (参照2018-09-27)

“太陽光発電の「設計ガイドライン」が改定へ、押さえておきたい要点は?”. スマートジャパン. http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1807/05/news022.html, (参照2018-09-27)

資源エネルギー庁. 改正FIT法による制度改正について. 平成29年版, 2017

http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/dl/fit_2017/setsumei_shiryou.pdf, (参照2018-09-27)

 

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