COLUMN
太陽光発電コラム

2019/06/12

自家消費型太陽光発電の償却年数は通常より短い?売電用との違いについて

自家消費型太陽光発電の償却年数は通常より短い?売電用との違いについて

企業で自家消費型太陽光発電設備を導入する場合、初期費用や電気代の削減率などに加えて、「減価償却はどうなるのか」ということも検討課題なのではないでしょうか。

そこでこのコラムでは、自家消費型太陽光発電設備の法的耐用年数と、減価償却の方法について具体例をあげて解説します。導入検討中の場合はぜひ最後まで読んで参考にしてください。

 

 

売電型と自家消費型太陽光発電の法定耐用年数の違い

法定耐用年数」というのは、設備などを導入した場合の減価償却年数を、国税庁が定めたものです。その設備自体が「耐久できる年数=いわゆる設備としての寿命」とは全く異なる意味なのでご注意ください。

売電型太陽光発電の法定耐用年数は17年

国税庁が公式に発表している「機械及び装置の耐用年数表」では、売電用の太陽光発電システムは「機械・装置以外のその他の設備の主としての金属製のもの」として分類されており、償却年数は17年となっています。

自家消費型太陽光発電の法定耐用年数は最終的な生産製品で変化

自家消費型太陽光発電設備でも、売電用の太陽光発電設備と同様に17年となる場合もありますが、自家消費型の場合、導入した場所で最終的に何を生産しているかによって償却年数が変わります

 

国税庁は参考例として、自動車製造業の工場で自家消費型太陽光発電設備を導入したケースをあげて説明しています。この場合、その工場で生産される最終製品が自動車なので、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令別表第2」の、23で示す「輸送用機械器具製造業用設備」に分類されており、償却年数は9年となります。

 

同表から判断すると、最終製品が農業用設備であれば償却年数は7年です。
この場合、その企業が農業を行っているという意味ではなく、農業用設備を製造するために自家発電した電力を使用しているという意味です。

 

自家消費型太陽光発電設備を導入検討中の企業で、自社がどこに該当するのか判断が難しいという場合、信頼できる業者に相談してみましょう。

太陽光発電を導入するにあたって大切な減価償却費の計算式

太陽光発電設備を導入した場合の減価償却の方法は、「定額法」と「定率法」の2種類がありますので、この項目ではその概略の意味と計算方法を具体的に説明します。

定額法

定額法は、毎年同じ金額の償却を行っていく方法です。定額法の計算は、以下のような方法で算出することができます。

定額法の償却費 = 取引価格 × 定額法の償却率


仮に設備の導入に1,700万円かかったとして償却年数が17年の場合、減価償却費は定額法の償却率0.059を使って以下のように算出されます。

具体的な償却費 = 1,700万円 × 0.059 = 100万円

定率法

定率法は設備導入年度に最も高い金額で償却し、同じ比率で年ごとに金額を減らしていく方法です。計算方法は以下の通りです。

定額法の償却費 = 未償却残高 × 定率法の償却率

 

この計算方法だけだと、償却費が年々減っていき、非常に小さな金額になってもいつまでも償却をつづけていくことになります。それを防ぐために「償却保証額」という数値が決められており、定額法の償却費の計算値が償却保証額より小さくなった年から、「改訂償却率」を使って計算を行います。その場合の計算は以下のようなものです。

償却費 = 改定取得価格 × 改訂償却率

 

定額法でサンプルにした1,700万円と同じ設備を定率法で計算する場合、200%定率法であれば償却率は0.118となり、償却費は以下のように計算していきます。

初年度の償却費 = 1,700万円 × 0.118 = 約200万円

次年度の償却費 = (1,700万円 – 200万円) × 0.118 = 177万円

 

また、この場合の償却保証額は、保証率0.04038から以下のように求められます。

償却保証額 = 1,700万円 × 0.04038 = 約69万円

 

このため何年か償却を続けて残額が69万円を切ったら、その額を改訂取得価格として、改定償却率0.125をかけて償却額を計算します。仮に改訂取得価格が60万円だった場合は以下のようになります。

 

改訂償却費 = 60万円 × 0.125 = 7.5万円

これをゼロになるまで償却します。(なお、この場合は8年でゼロになります)

自家消費型太陽光発電であっても多くのパターンで2種類から選択可能

自家消費型太陽光発電設備の法定耐用年数(償却年数)は、その電気が使用されて製造される最終製品によって変わります。また、減価償却の方法は「定額法」と「定率法」の2種類から選ぶことができます。

 

ここで、定額法と定率法のメリット・デメリットを紹介しましょう。どちらを選ぶかは自社の状況に合わせて検討してみてください。

 

まず定額法は、計算がわかりやすく、初年度の費用を少なめに計上できるメリットがありますが、デメリットはその逆で初年度に設備投資による節税効果を感じにくいことです。

 

定率法は定額法のほとんど逆の効果があり、初年度の節税効果が高いメリットがあります。どちらを選ぶかは、その年度や数年先の経常利益の傾向を考えて判断することをお勧めします。

自家消費型太陽光発電は売電型に比べ償却年数が短い傾向にある

売電型の発電設備は償却年数が17年ですが、自家消費型太陽光発電設備は償却年数が短い傾向にあります。
これは会社の状況によってメリットにもデメリットにもなるので、以下に簡単に説明しましょう。

 

1,000万円の設備を導入し、10年で減価償却する場合と5年で減価償却する場合を比べましょう。
定額法で10年かかって償却する場合は、10年間毎年100万円ずつの償却を行うのに対して、5年の場合期間は半分でも償却額は倍です。つまり償却年数が短い場合は、単年度ごとには大きな節税効果が得られると言えば分かりやすいでしょう。

自家消費型太陽光発電の償却年数まとめ

自家消費型太陽光発電設備の法的耐用年数=減価償却年数についてまとめました。売電型の太陽光発電設備では償却年数は一律に17年ですが、自家消費型太陽光発電設備の場合は製造内容によって償却年数が大きく変わります。導入にあたっては、先に自社で導入した場合何年なのかを確認しましょう。

 

償却年数の計算には定額法と定率法がありますが、自家消費型太陽光発電設備では会社の状況に合わせて選べるメリットがあります。自社にとって大きな節税効果を短期間に得るべきか、単年度ごとには節税効果が少なくても長い年数をかけて償却した方がよいか、経理や財務の担当者と相談した上で決定してください。

 

「ユニバーサルエコロジー株式会社」は、太陽光発電を5000件以上も受注・設置してきた実績を持っています。設備導入の節税効果や、自社のケースに当てはまるのはどの項目か、といったご相談にも営業担当者が丁寧に対応しますので、自家消費型太陽光発電設備の導入をお考えの場合、ぜひ当社にお問い合わせください。

 

ご相談いただければ、御社の電力使用状況をお伺いした上で、判りやすいシミュレーションと、誠意あるお見積もりを作成いたします。

 

 


関連記事

コラムPPAモデルが選ばれる理由 初期費用ゼロ!企業が導入する自家消費型太陽光発電のメリット

コラム今注目されている「PPAモデル」とは?自家消費型太陽光発電として導入する場合のメリット

コラム法人向け「自家消費型太陽光発電」の補助金・優遇措置を解説【2021年】

サービス自家消費型太陽光発電の導入メリット

サービス自家消費型太陽光発電PPAモデル導入メリットと競合比較